6月25日(火) 曇り
津野川水位 0,28(13:30現在)
『太郎と次郎の杓と桶』
むかし、太郎と次郎という、よいよ働き者の村人がおった。
そりゃぁ働き者の二人ながやけん、太郎の方は正月になっても不自由せん程にお金を貯めよったけんど、次郎の方は正月になったらお金が無くていっつもぴーぴー言いよる。

ある日、次郎は(太郎とおんなじ様に働きよるになせやろう)と思い、太郎に習うことにした。
「太郎よ、わしゃおまんとおんなじ様に精出して働きよるけんど、いっこうにおまんみたいにお金が貯まらんがよ。何か方法があるなら教えてくれんろうか」
太郎はなかなか教えようとはせんかったけんど、次郎がしぶとく願うもんでちょっと考えてから答えた。
「そんなに言うがじゃったら教えちゃるけんど、わしの言う通りにできるかえ。ちゃんと出来たら教えちゃらえ」
太郎は念を押し、次郎も頷いた。

太郎は、杓と底の抜いた桶を渡した。
「この杓で、この桶に水を汲んでみよ」
次郎は底の抜けた桶に貯まるはずもないけんど、太郎に習う為に言われたまま必死で杓で水を汲み続けた。
「どうぞ。貯まったか」
「そりゃ貯まるもんかえね、底の抜けた桶じゃけんね」
「貯まらんろう。よっしゃ方法を変えちゃる」

太郎は次郎に言いながら、今度は底を抜いた杓と普通の桶を渡した。
「そりゃ、今度はこれでやってみよ」
次郎はまた必死になって底の抜けた杓を使って桶に水を汲み続けた。
「今度は貯まったか」
「何ぼ底の付いた桶でも、底の抜けた杓では水も汲めんわえね」

じゃけんど桶の中をよう見たら、底の抜けた杓で何回も繰り返したことで、杓に付いた雫が桶に溜まって、ちょっとだけ水が貯まっちょる。
「次郎、これよね」
「何ぼ貯めても使うたらのうなるがよ。ちいとずつでも構んけん念ごろ貯めよったらこうなるがよ。その積み重ねが大切ながよ」

とな。
太郎と次郎のお話しよ。
※そら&りょー&ひゅーま&おじーちゃん2人、5人で一緒につくった紙芝居でした〜